Azureの負荷分散サービスには、「Azure Load Blancer」、「Application Gateway」、「Traffice Manager」の3種類があります。本頁では、この3つのAzureの負荷分散サービスについて解説します。
Azure Load Blancer/Application Gateway/Traffice Managerとは?
負荷分散サービス | アイコン | 概要 |
Azure Load Blancer | Azureで基本となるL4ロードバランサー。振り分け対象は仮想マシンとAzure CloudServiceのみで、ヘルスチェック機能も備えている。BasicとStandardがあり、Basicは無料、Standardは有料サービスである。違いは可用性ゾーンの冗長構成可否 | |
Application Gateway | L7ロードバランサー。振り分け対象は仮想マシンとCloudServiceとプライベート/パブリックIPの指定が可能です。有料だが、L7の基本的な機能であるSSL処理やWAF処理も可能 | |
Traffice Manager | リージョンを横断した負荷分散が可能なサービス。送信元IPアドレスをもとに振り分け先リージョンをかえたり、障害時の動作が制御できる。 |
各サービスの詳細は、次項以降で説明します。
Azure Load Blancerの特徴
Azure Load Blancerには、BasicとStandardの2つのグレードがあります。
グレード | 特徴 |
Basic |
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Standard |
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Application Gatewayの特徴
Application Gatewayの特徴を解説します。
- 有料
- L7ロードバランサー
- 振り分け対象は、仮想マシン/CloudService/IPアドレス
- NAT
- ヘルスチェック機能
- SSLオフロード
- URLパスベースルーティング(URLを判断し振り分け)
- WAF(Web Application Firewall)
- スティッキーセッション(Cookieベースのセッション管理)
Traffice Managerの特徴
Traffice Managerの特徴を解説します。
- 有料
- リージョン横断の負荷分散
- 振り分けにはDNSを使用
- 負荷分散ルールとして、優先順位/重みづけ/パフォーマンス/地理の4つがある
- トラフィック量・応答時間の見えるかツール「TrafficeView」の提供
- 地理分散の新機能として実際の応答時間を用いる「RealUserMeasurement
負荷分散ルールの階層設定も可能で、具体的な設定として、1層目に地理的、2層目に優先順位を設定すると1層目で日本に絞り、2層目で東京と大阪で分散などの構成も可能となります。
Azure負荷分散サービス利用時のポイント
これまで説明してきた内容を見て頂くとわかると思いますが、Azureの3つの負荷分散サービス( Load Blancer/Application Gateway/Traffice Manager)は用途が全く異なります。もちろん負荷分散サービスなのでトラフィックを分散させることで可用性と拡張性を高めるという点では同じですが、3つのサービスとも用いる場面は違うことを理解しましょう。
我々インフラエンジニアが意識すべきところは、このような一見すると類似しているクラウドサービスの提供目的と機能を正確に把握しておくことです。さらにそのサービスに触れられたらなお良いと思います。最適なシステムインフラを提供するためには、クラウド事業者のサービスを把握し、自分で実際に触ってみることで、要件に合わせた最適なソリューションを提供することに繋がると考えるからです。
今後コンテナ化やマイクロサービスアーキテクチャによってシステムに必要な機能を必要なところから取り込み一つのシステムとして作り上げる流れが進んでいくと考えられます。そうなるとさらに分散処理の重要性が出て来ることは明白です。その状況に備えて、Azureで提供する3つの不堪分散サービスをまずは理解し、出来れば触れることで、自分の制御下においておきましょう。
Azure負荷分散サービスの構成パターン
Azure Load Blancer/Application Gatewayを組み合わせた構成パターン例を紹介します。
サービス | 構成パターン | システム概要 |
Azure Load Blancer
Application Gateway |
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